2014/05/06

戦いを見る『チャイルドオブライト』

 原題『Child of Light』
 邦題『チャイルドオブライト』
これの戦闘システムについて感想を記す。
(私は未クリアなので、そこに注意)

タイトル画面


まずゲームの全体像についてざっくり説明。

チャイルドオブライト(以降CoLと呼ぶ)は、水彩画のような美麗なグラフィックが特徴です。その要素は実際、発売前から謳い文句の一つとされていました。私だって、それを目当てに購入しました。

美麗かつやわらかみあるグラフィックによって、絵本やおとぎ話テイストの物語が進みます。つまりこの物語に斬新さを求めてはいけません。分かりやすい展開を暖かい目で見守りましょう。

主人公のオーロラを含めた各キャラの台詞や掛け合いも、そうした物語に準じています。詩的すぎる台詞まわしは演劇を見ているよう。人によってはウゲッとなること請け合い。ちなみに私はごく最近読んだ児童文学『宝石の筏で妖精国を旅した少女』を思い出しました。ともかく、そういう雰囲気なんです。

(原文だと、たくさん韻を踏んだ台詞になっているらしいです)

冒頭のマップ抜粋 この世界を飛び回ることができる



*****ここから本題*****

私は今作については、事前に絵本的な雰囲気を知っていたので、戦闘システムに期待はしていませんでした。ですが、いざプレイしてみると、意外にもオッと感じられる内容だったので、今回はそれについて記したいと思います。

戦闘システムの基本はターン制バトルとなっています。とはいえ『ドラゴンクエスト』などオーソドックスなものと違う点があります。戦闘画面の下部に各キャラの行動順を示すバーがあり、これが最右まで到達したキャラから行動できる仕組み。

バーは[ウェイト/キャスト]状態にわかれています。キャストに到達したキャラからコマンド指定ができるようになり、キャストの最右(バーの最右)に進行したら、指定された行動を行う。コマンド選択は時間制限がないので『ファイナルファンタジー』のように焦ることはありません。

赤○部分 [ウェイト/キャスト]バー
ここでは味方がキャストに到達している

なぜ[ウェイト/キャスト]にわかれているのか不思議でしょう。実はこれが特徴の一つでして、キャスト状態のキャラが相手から攻撃を喰らうと[妨害]となり、バーを大きく戻されてしまいます。味方も敵も条件はまったく同じようです。

これ、ゲーム中では説明がありません。「妨害はガードをすれば防げる」とは説明してもらえますけど、妨害の起こし方についてはま一言もナシ。私は仕組みが分かるまで、妨害がランダム要素だと勘違いしていました。ただゲームを進めていれば、イヤでも敵から教えてもらえます。

妨害はなかなかのクセ者。敵によってはバーが素早く進行していくので、キャスト到達時では味方の方がバーを早く進んでいても、ギリギリ追い抜かれて攻撃され、妨害になってしまうということもままあります。

しかしそれは味方も同じ。例えば序盤で仲間になるルベラがいます。彼女はなぜかキャストに到達してから、バーを進行する速度が急激に上がります。なので行動順が多少は追い抜かれていても、すぐに追い抜いて妨害に持ち込むことができるんですね。

なぜそういう作りなのか……私の推測ですが、彼女は回復やバフ技を持った、いわば支援役です。特に回復は、味方のピンチには何としても回復したいですね。けど回復より敵の行動が早くって、倒れてしまったという場面は、RPGプレイヤーなら幾度も経験したはず。彼女はその悲劇をさけるため、素早く動けるよう設定されているのでしょう。

この回復を確実に行える設定が、彼女をアタッカーとしても優秀にしているんですね。制作者が狙ってやったのか、偶然かは分かりませんが、面白いキャラになっています。

また、キャラによらず指定したコマンドによっては、バーの進行が遅くなりもします。これも実は重要。敵のほうがバーの進行が遅いあまり、味方が攻撃にうつるまでにキャストに到達しない。そんなときにあえて味方に遅い行動をとらせることで、敵のキャスト到達時を狙って攻撃ができる。結果として妨害につながる。

今作のコマンドはただのコマンドでないことがおわかりでしょうか。コマンドごとでバーの進行速度が違うため、敵の進行状況にあわせたコマンド選びも必要になります。

CoLの戦闘システムにおいて、もう一つ特徴的な部分を挙げましょう。

イグニキュラスという仲間がいます。これはフィールド中だろうと戦闘中だろうと、常に画面を浮いており、オーロラとは別に、自由に動かすことができるキャラなんですね。彼の役目は主に明かりを灯すこと。明かりによって様々なことが行えますが、ここでは戦闘シーンのみを抜粋しましょう。

戦闘シーンはFFのような[サイドビュー視点]。オーロラたちがいて、敵がいて、そしてイグニキュラスがいる。オーロラたちに行えるのはコマンド指定だけながら、イグニキュラスはコントローラーのスティックで自在に動かせます。敵に触れているときに明かりを灯せば、敵をひるませることができます。

敵はひるんでいる間、バーの進行スピードが下がります。これによって敵より先に味方を行動させることが、とても簡単に行えるんですね。そしてこれこそが、今作における戦闘の肝です。

既に話した妨害も、このイグニキュラスを用いることでより有効活用できます。敵のほうがバーの進行が早いが、できれば妨害したい。そこで敵をひるませ進行を遅め、なかば無理やりに味方を先行させる。妨害をねじこんでやるんです。

赤○部分 イグニキュラスで敵をひるませ中
単に、強い敵の行動を遅めたい場合にも有効

ここまで読んでくれた方なら、うっすら気付いているでしょう。今作は、プレイヤーの行うべきことが多いことを。バー進行管理とイグニキュラスの操作です。

特にイグニキュラスの操作は、忙しいですね。とはいえこれが独自の感覚を呼びます。イグニキュラスという一個のキャラではありますが、触っていると、あたかもプレイヤー自身が戦闘に参加している気分になる。プレイヤー自身が主人公パーティを手助けしている気分になる。

また、これは今作の欠点でもあると感じました。基本的なターン制バトルでは、プレイヤーが行うべき操作はコマンド指定だけで、あとは戦闘を眺めているだけでいい。今作ではコマンド指定に加えて、プレイヤー自身も積極的に立ち回らなければならない。

他のターン制バトルに比べてやるべきことが多い。プレイヤーをつまらなくさせない刺激的なシステムと捉えるか、忙しくて面倒なシステムと捉えるか、これによって今作の受け止め方が違ってくると思います。……私? 私はまだ前者ですが、ゲームを進めていくうちに、後者に傾く可能性は捨てきれません。

(あるいは、戦闘シーンの淡泊さをプレイヤーに意識させない作りなのかも。今作の戦闘シーンは、思い返すとかなり淡泊です。しかしプレイ中の私はイグニキュラスの操作ばかり集中していて、そんなこと考えもしませんでした)

とはいえ、今作は戦闘が頻繁には起きません。マップではシンボルエンカウント方式なので、雑魚敵は避けようと思えばいくらでも避けられます。しかも主人公は序盤のとあるイベント以降、自在に空を飛べるようになるので、ますます避けやすさに拍車をかけています。

さらにイグニキュラスの光で敵をひるませれば、素通りできてしまう。戦いなら、ひるませた状態で背後にとりつけば、あっさり先制攻撃をとることができちゃうんですね。さらにさらに、レベルアップしやすい作りであるため、積極的に敵を探して戦うことはほぼ必要ありません。バーサーカーの方はどうぞ手当たり次第に斬り回ってください。

今作は戦闘システムやエンカウントの性質を含め、戦闘はやさしい印象があります。特に難易度ノーマルではハッキリ感じられます。一部のボスは歯ごたえがありますけど、それでも雑魚戦では、イグニキュラスさえ使えていれば負けはグッと減ります。

戦闘がやさしいという印象について、海外のレビューサイトでも同じ意見が出ていますし、恐らく多くの人が感じることでしょう。しかしまあ、難易度は最初から[ノーマル/ハード]を選ぶことができますし、プレイ中でもオプションで変更できます。好きな難易度で遊んでください。

……ただ、私は今はまだ序盤までしかプレイしていません。もしかしたら終盤になると、恐るべき難易度になるかもしれない。エンカウントを回避できない敵配置になるかもしれないし、イグニキュラスでは邪魔できない敵が現れるかもしれない。その点はご注意ください。



結論。
CoLの戦闘システムは、既存のターン制バトルをちょいと発展させた、ちょっとだけ目を惹く興味深いものです。ここではまったく記していませんが、グラフィックも美しい。『聖剣伝説Legend of Mana』『サガ フロンティア2』を連想させてくれます。それらにピンと来た人なら、遊んでみるのも悪くない。

余談。
私はPS4でCoLをプレイしていますが、スクリーンショットやムービーを手軽にキャプチャできます。非常に頼もしいですね。これから先ゲームの感想を書いていくのが楽しみです。あと、スクリーンショットにはゲームメーカーのロゴが表示されるんですね。UbiSoftだけでしょうか?

[チャイルドオブライト 日本語版 公式HP]
http://www.ubisoft.co.jp/products/278/

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